大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和38(オ)1407 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人江尻平八郎、同高橋潔、同伊藤銀蔵、同柳本孝正の上告理由一につい

て。

原判決挙示の証拠及び事実によれば、本件宅地につき被上告人のためになされた

原判示所有権移転登記は原判示所有権移転請求権保全の仮登記の本登記としてなさ

れたものであるとした原審の認定判断は、当裁判所もこれを是認する。そして、請

求権保全の仮登記でも、これに基づく本登記がなされたときは、仮登記以後におけ

るこれと相容れない中間処分の効力を否定する効果を有するものと解すべきであり、

所有権移転請求権保全の仮登記以後における所論賃借権の設定も右にいう仮登記と

相容れない中間処分たるを失わないのである(昭和三三年(オ)第八七一号同三六

年六月二九日第一小法廷判決、民集一五巻六号一七六四頁)から、すでに同仮登記

に基づく本登記がなされた以上、上告人は右賃借権をもつて被上告人に対抗し得な

いものといわなければならない。原判決の判示するところも、右と同趣旨に帰する

ものと解せられるから、原判決には所論の如き違法は認められない。論旨は、右と

異なる独自の見解にすぎず、採用することができない。

同二について。

原審が挙示の証拠により適法に認定した事実によれば、上告人がDから本件建物

の所有権を取得した時には、Dは、その敷地たる本件宅地につき賃借権を有せず、

その当時の地主Eとの間の使用賃借に基づき右宅地を使用していたにすぎないとい

うのであるから、借地法一〇条の適用の余地がないとした原審の判断は正当であつ

て、原判決に所論の如き違法は認められない。論旨は、結局、原審の認定と相容れ

- 1 -

ない事実を前提として原判決を非難するものに帰し、採用の限りではない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 横 田 正 俊

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 田 中 二 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!